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雑多

1「しろいろの街の、その骨の体温の」

「しろいろの街の、その骨の体温の」読書感想文

著者・村田沙耶香

 

ざくっと内容

主人公・結佳の、小学4年生~中学2年生までの心やカラダの成長に合わせて変わりゆく心情を描いた物語です。女の子同士の複雑な人間関係や、性に対する戸惑い、クラスのカーストなど、思春期特有の悩みを感じながらも、結佳はある答えにたどり着きます。

 

詳しいあらすじは商品紹介から↓

 

読書感想文

※ネタバレを含みます。

 

田舎の小学校で過ごしたわたしは、かなりの純粋だったと思う。

1学年1クラスしかないため6年間全員が同じクラス、そのうち女子は7人。

7人という狭すぎる世界で私は生きていた。

自分のことを不細工だなんて感じたことはなかったし、

スクールカーストなんて考えたこともなかった。

 

周辺の町の5つの小学校から人が集まる中学校に進学してから

わたしの自意識は変化したように思う。

 

主人公・結佳のように、自分のいるべき場所、言うべき言葉、

全てに恐怖を覚えながら中学生活を過ごしていた。

 

片想いをしていた人に告白して振られたとき、

なぜかその噂は広まっていて、クラスの男子から

「お前みたいなやつが付き合えると思うなよ」と言われたこと。

水泳の授業の後に、自分の体についてからかわれたこと。

そういったひとつひとつの小さな出来事が、

わたしの自意識をどん底まで落としていった。

 

大人になったいま、かわいい悩みだったなと思うけど

あの頃のわたしにとって、学校での自分の見られ方というのは

この世のすべてのようなものだった。

歩き方ひとつすらヘンに思われたくなくて、

普通の歩き方を意識しすぎて逆にヘンな歩き方になりまねされたりした。

 

あの頃のわたしがこの本を読んでいたら、

いまのわたしはどう変わっていただろうかと考える。

 

「私には値札がついてて、その数字がすごく低いんだ。でも、私、それとは関係なしに、すごく綺麗みたい」

 

いまのわたしに響いた主人公・結佳のこの一言は、

あの頃のわたしにすごく響いて

学校という世界で生きやすくなっていたかもしれないし

もしかしたら、全く心に響かないかもしれない。

 

だけど今、大人になってこの本を読んだわたしは

あの苦しくて、汚くて、だけどすごく透明だった中学時代を過ごしたわたしに

とても魅力を感じるのだ。

 

あの頃のわたしに、

「いまも昔もこれからも、わたしは綺麗だよ。」

って伝えてあげたいなあ。